NHK系列の連続テレビ小説「虎に翼」第24週目に取り上げられる「尊属殺人罪」は実際に起きた事件として知られています。
実際のモデルとなった事件はどんなじけんだったのでしょうか?
どういう経緯で事件が起きたのかまた尊属殺人事件の被告の人生や裁判の判決についても詳しく調査していきたいと思います!
そこで今回は【虎に翼】尊属殺人の
- 【虎に翼】24週のあらすじ
- 【虎に翼】尊属殺人とは?
- 【虎に翼】モデルになった栃木実父殺人事件の概要
- 【虎に翼】栃木実父殺害事件の経緯
- 【虎に翼】被告の人生
- 【虎に翼】裁判の争点と判決
について紹介します!
虎に翼の24週のあらすじ
NHK系列の朝ドラ「虎に翼」第24週のあらすじは以下の通りです。
病を患い、治療に専念している多岐川(滝藤賢一)を寅子(伊藤沙莉)が見舞う。多岐川は「少年犯罪の厳罰化」を求める声が高まっていることを気にかけていた。昭和44年、学生運動が激化。事件に巻き込まれた香淑(ハ・ヨンス)の娘・薫(池田朱那)が逮捕される。一方、よね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)は、尊属殺人の罪に問われている美位子(石橋菜津美)の弁護を担当していた。穂高(小林薫)が少数意見を出した判決から時代は大きく変わったが、今度は―。
引用元:虎に翼 公式
第24週では病気療養している多岐川や、尊属殺人の罪に問われている美位子について取り上げられます。
第14週では「尊属殺人は違憲だ」という少数派意見の穂高でしたが、今回の第24週ではどのように扱われるのか気になるところですね♪
尊属殺人とは?
尊属殺人とは一体どのような事件なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
刑法第200条「尊属殺人罪」といい、日本の最高裁判所が定めた特別な規定のこと。
子供が実の両親や祖父母など、自身より上の世代の親族を殺害してしまった際に適用される法律です。
#虎に翼 で描かれた「尊属殺人重罰規定」とは、血縁がある人への殺人罪は、他の殺人罪よりも重罪になるというものです。ですがドラマでは(そして実際に起こった事件では)、父親が娘に激しい性的虐待を行なっていました。「こんな理不尽が許されてたまるか」その通りだと思います。 pic.twitter.com/scCCT1KuA1
— 中学受験社会 時事問題に強くなる🐙🌸 (@philo_societycj) September 10, 2024
尊属殺人罪は普通の殺人事件よりも、もっと重い罰が与えられるというものです。
刑法第200条「尊属殺人罪」は2003年に無効となり、現在の法律では殺人を犯した場合は誰であっても同じように罰せられます。
モデルになった栃木実父殺人事件の概要は?
「栃木実父殺人事件」は1968年(昭和43年)に実際に起きた事件です。
一体どのような事件なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
事件の概要を分かりやすくまとめると以下の通りです。
- 1968年(昭和43年)年10月5日に事件が起きる
- 当時29歳の娘が実父(当時53歳)の首を絞めて殺害する
娘は何故、実の父親を殺害したのか気になるところですよね。
親子喧嘩の末に殺害したのか、それとも別の理由があっての殺人なのか…。
#虎に翼 117回 尊属殺人
ドラマ冒頭の泣き声から、山田轟法律事務所にて躊躇しつつも笑顔で告白するまで、美位子さんが受けた壮絶な苦しみ、そして母親が山田轟法律事務所に駆け込むまで耐えてきた苦しみ…さらには実際にあった栃木実父殺人事件が基になっている恐怖…https://t.co/uBOIKSgRZp pic.twitter.com/LDGvA9Z8dp
— へっぽこ野良主婦 (@TanakaDavies) September 10, 2024
事件の詳しい経緯を紹介していきます。
栃木実父殺害事件の経緯?
事件の経緯は以下の通りです。
- 当時29歳の娘が14歳の頃から実父(当時53歳)から近親相姦を受けていた
- 娘は実父との子供を5人出産
- 夫婦同然の生活を強いられていた
- 逃げ出せば暴力によって連れ戻される
- 逃げ出せば妹が娘の身代わりになる恐れがあって逃げ出せずにいた
- 娘に職場で両想いの相手が現れ、実父に打ち明ける
- 実父は激怒、娘を監禁する
- 監禁10日目に娘が実父を殺害する
当時29歳の娘が実の父親を殺害したのは、14歳の頃から性的虐待を長きにわたって受けていたとのことです。
9月10日放送の「#虎に翼」(第117回)で取り上げられた「口にすることも憚られるおぞましい事件」。そのモデルとなった凄惨極まりない「尊属殺人」事件の詳細を、ノンフィクションライターの高橋ユキさんが過去の資料に当たりながら掘り下げています。ぜひご一読ください。 https://t.co/VD31SAm09F
— デイリー新潮 (@dailyshincho) September 10, 2024
また父親と娘の間には5人の子供を出産しており、夫婦同然の生活を強いられていたというのです。
娘は4回の中絶手術を受けており、これ以上妊娠しないように不妊手術も受けさせられていたというのですから驚きです。
被告の人生
実の父親を殺害した理由には実父と娘の関係が大きくかかわっているのです。
先程も軽く紹介しましたが、娘は14歳の頃から実の父親から長きにわたって性的虐待を受けていました。
逃げ出そうとすれば暴力によって連れ戻され、無事に逃げられたとしても今度は同居している妹に同様な危害が加わる可能性が高かったため逃げ出せずにいたようです。
そんな時、娘が働く職場で運命の出会いがあり、父親に報告したところ実父は激怒して娘を監禁します。
監禁後も暴力や暴言が続き、10日経ったある日、娘はこれまでの苦悩や父親との関係を全て断ち切って犯行に至りました。
父と娘の関係
父親が初めて娘に性的虐待をしたのは中学2年生の3学期でした。
当時の家は二間で、私が四畳半の間に一人で寝ているとき、隣に母と寝ていた父が、夜中に私の寝床に入り込み無理に乱暴されてしまい、それが始まりで母の目を盗んでは一週間に一度、十日に一度くらいの割で乱暴され続けたのでした。
引用元:栃木実父殺害事件
娘はこの事を母親に相談しますが、母親は「どうりで私のところに来なくなったからおかしいと思っていた」と言われただけで夫婦仲は悪化していったとのことです。
娘が16歳の頃に母親が弟達を連れて北海道へ出ていったものの、しばらくして戻ってきた際に娘を求める父親を止めに入った母親も同様に暴力を振るわれる日々が続きました。
娘は何度か逃亡を図りますが、父親の酒癖が悪いせいで酔っぱらうと刃物を持ち出し、半狂乱で娘を連れ戻したようです。
娘が17歳の頃に父親の子供を始めて出産し、逃げる気力も失っていきます。
娘が諦めたと同時に父親の子供は産まれ続けていき、父親と娘、その子供で事件の現場となる市営住宅に引っ越していきます。
結婚を考える
青春というものを味わう事も無く、逃げ出そうものなら暴力で連れ戻される地獄のような毎日を過ごしていた娘は「少しでも家計の足しになれば」と思い、下の子が幼稚園に入園すると同時に近所の印刷工場で働き始めます。
そこで7歳年下の男性に恋をします。
最初は単なる工員どうしの付合いで特に親しくしていたわけではありませんが、日がたつにつれ、お互いに好意を持つようになりました。Bさん(年下男性)の顔をみるのを楽しみに、それまでより若造りの服装をして工場に通っていましたが、現在の自分の境遇を振り返りBさんと結婚したいなどという気持は全然持っていませんでした。
ただ、私の初めての恋だったのです。職場の仲間が恋愛だとかデートだとか青春だとか、幸せそうな話をするのです。私は父との関係を恥じて家に閉じこもり、恐ろしい父を持ったことを運命だと諦めて、自分から世間との交際を避けてきたのですが、そんな話を耳にするにつけ、父に犯され続けてきたことが不幸であったとつくづく思われました。今からでも青春がほしい、世間並みの幸せというものをつかみたい。私にだって青春、幸せがあってもよいのだと、真剣に考えるようになり、それにつれ父の行為が非常に憎くなったのです。
工場勤務が終わったら駅まで一緒に帰ったり、喫茶店でお茶をして身の上話などをしますが、夫婦のように暮らしている男が実の父親だとはとても言い出なかったようです。
事件
男性は娘に結婚を申し込み、娘はそのことを父親に報告します。
話を聞いた父親は激怒して刃物を持ち出します。
「勤めをやめて家にいるから、いかないで」と娘は父親を止めに入ります。
ある日、外出しようとしていた娘は父親に捕まって衣服をはぎ取られ、悲鳴を上げたところで近所の人が駆け付けバス停まで逃げ込みます。
ですが追いかけてきた父親に連れ戻され身体を求められ続けたようです。
などの暴言を吐かれ、娘は監禁されてしまいます。
監禁から10日経ったある日、娘は追い詰められ泥酔した父親の首に腰紐を巻き付け殺害に至ります。
裁判の争点と判決?
裁判の争点と判決はどのように下されたのか気になっている方緒多いのではないでしょうか。
詳しく紹介していきたいと思います。
裁判の争点
栃木実父殺害事件は最高裁までもつれ込み、娘は刑法199条と刑法200条で起訴されました。
争点は「普通殺人」と「尊属殺人」どちらを適用するのか、という所です。
- 刑法199条「殺人罪」は、人を殺した者に対して、死刑または無期もしくは5年以上の懲役を科すと定められている。
- 刑法200条「尊属殺人」は無期or死刑と定められている(2003年で廃止)
尊属への殺人を重罰と定めており、「尊属殺人」の場合は執行猶予がつかず実刑になるケースがほとんどでした。
このことから実の父親を殺害してしまった当時29歳の娘は、重罰を受けるのではないかと予想されていたようです。
刑法200条は日本の憲法14条「平等原則」に違反していると第14週のドラマでも一度触れられています。
- 寅子(伊藤沙莉)の恩師・穂高重親(小林薫)は、違憲を支持していた
- 違憲と認められることは無かった
今回24週ではどのように触れられるのか気になるところです。
判決は?
栃木実父殺害事件の判決はどのように下されたのでしょうか。
◆一審
- 刑法200条を違憲と判断
- 通常の殺人罪を適用したうえで、心神耗弱での過剰防衛と判断し刑罰を免除
- 検察は控訴
◆二審
- 刑法200条を合憲と判断
- 最大限の減軽を行い、未決勾留期間の全てを算入する
- 心神耗弱、情状酌量の上で懲役3年6月を言い渡す
- 弁護側が上告
◆終審
- 従来の判例を変更し刑法200条を違憲と判断
- 刑法199条を適用
- 懲役2年6月、執行猶予3年を言い渡した
尊属殺の重罰規定を巡って違憲か合憲か争われた裁判となり、最高裁判所が初めて違憲審査権を発動して「刑法200条は違憲である」という判決を下しました。
まとめ
【虎に翼】尊属殺人の事件のモデルは?栃木の実父殺人事件!について紹介しました。
【虎に翼】尊属殺人の調査結果をまとめると
- 【虎に翼】尊属殺人の概要は当時29歳の娘が実父を殺害した
- 【虎に翼】尊属殺人の経緯は
・娘が14歳の頃に実父から近親相姦を受けていた
・逃げ出そうとすれば暴力で連れ戻される
・逃げられたとしても同居している妹に危害が加わる恐れがあり逃げ出せない
・娘の職場に両想いの男性から結婚を申し込まれ父親に報告
・父親は激怒、娘を監禁
・監禁から10日で娘は父親を殺害 - 【虎に翼】尊属殺人の裁判の争点は
・「普通殺人」か「尊属殺人」のどちらを適用するのか - 【虎に翼】尊属殺人の裁判の判決は
・懲役2年6月、執行猶予3年の判決が下された
ということが分かりましたね!
最後までお読みいただきありがとうございました。